誰の顔か分かる映像は、個人情報の例です。
個人情報保護委員会の通則ガイドライン (外部サイト) は、個人情報に該当する例として「防犯カメラに記録された情報等本人が判別できる映像情報」を挙げています。 民間事業者向けのパンフレット (外部サイト) は、その人が誰なのか分かる程度に顔が鮮明に映っている画像を取得した場合、個人情報を取り扱うことになる、と説明しています。
カメラに関するQ&A (外部サイト) のQ1-41は、特定の個人を識別できる映像は個人情報に該当する、としたうえで、記録した日時で検索できても、特定の人の映像を検索できない場合は、個人情報データベース等には該当しない、と解しています。
同じQ&Aは、顔の骨格や目・鼻・口の位置を、特定の個人を識別できる水準で符号に変換したデータを、顔特徴データ(個人識別符号)として説明しています。映像そのものと、顔の特徴を抜き出したデータは、資料の中で区別されています。
個人情報取扱事業者について、通則ガイドラインは、個人情報データベース等を事業の用に供している者と説明しています。事業は、一定の目的をもって繰り返される行為のうち、社会通念上事業と認められるものをいい、営利か非営利かは問わない、とされています。カメラQ&Aとパンフレットは、この事業者(主に民間の事業者)がカメラを使う場合の説明です。自宅の玄関を家族が見るだけの使い方が、店と同じ義務になるかは、この資料だけでは断定できません。自宅で事業をしている、部屋を貸している、管理組合や自治会で共用部を撮る、といった場合は条件が変わります。
従来型と、顔の特徴を照合する仕組みでは、目的の示し方が違います。
Q&Aは、従来型防犯カメラを「防犯目的で設置されているカメラのうち、撮影した画像から顔特徴データの抽出を行わないもの」と説明しています。顔識別機能付きカメラシステムは、撮影した顔画像から顔特徴データを抽出し、あらかじめ登録した人と照合する仕組みです。
従来型は、防犯目的が明らかなら、目的の通知・公表が不要と考えられることがあります。
特定の個人を識別できる画像を取得する場合、Q1-13は、利用目的をできる限り特定し、その範囲で使うとしています。パンフレットの例は「万引等の防止のため」です。カメラの設置状況から防犯目的であることが明らかな場合は、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に当たり、利用目的の通知・公表は不要と考えられます。撮られていることが本人に分かるようにする措置は、この例外とは別に、次の節で確認します。
顔の特徴を登録して照合する場合は、その機能も含めて目的を示します。
Q1-14とパンフレットは、防ぎたい事項に加え、顔識別機能を使っていることが本人に想定できる程度まで利用目的を特定する、としています。パンフレットの例は「顔識別機能付きカメラシステムを利用したテロ防止、万引防止等」です。カメラの外観から、防犯目的で顔識別機能が使われているとは分かりにくいため、「取得の状況からみて利用目的が明らか」には当たらず、利用目的の通知または公表が必要です。登録された顔特徴データ等が保有個人データに当たる場合は、保有個人データに関する事項の公表等も必要とされています。
- 運用主体、利用目的、問い合わせ先、詳しい説明のURLまたはQRコードを、入口やカメラの近くに掲示することが望ましい
- 照合用データに登録する人は、防ぎたい行為をする可能性が高い人に厳しく限る基準が望ましい
- 他の事業者と顔のデータを共有する場合は、共同利用の通知など別の項目(Q7-50)がある
駅や空港のように不特定多数が出入りする大規模な施設での顔識別は、 犯罪予防や安全確保のための顔識別機能付きカメラシステムの利用について (外部サイト) に、肖像やプライバシー、法律上の留意点、事業者の自主的な取組が整理されています。その文書が想定しているのは、駅や空港のように不特定多数が出入りする大規模な施設です。小さな店は、Q1-14とパンフレットを先に確認します。関連資料の入口は 個人情報保護委員会の資料一覧 (外部サイト) です。
Q1-14の顔識別機能付きカメラシステムは、登録した人と照合する仕組みです。人が映ったことを知らせるだけの機能は、取扱説明書に顔の特徴の保存や、特定の人を覚える記載があるかを見て、Q1-14の説明が必要かを確認してください。
何に使うかを決め、撮っていることが分かる状態にします。
防犯のために取得したカメラ画像や顔特徴データを、マーケティングなどの商業目的に使う場合、Q1-15はあらかじめ本人の同意が必要としています。販促の投稿や、来店客の顔を広告に使う使い方は、設置時の防犯目的とは別です。
撮られていることが本人に分かるようにする点は、利用目的の通知とは別に書かれています。Q1-13は、偽りその他不正の手段で個人情報を取得してはならない、としたうえで、カメラの設置状況から、自分の個人情報が取得されていることを本人が容易に認識できない場合は、認識できるようにする措置が必要としています。例は、店舗や駅・空港等の入口、カメラの設置場所に「防犯カメラ作動中」と掲示することです。見た目でカメラだと分かる場合でも、掲示してより容易に認識できるようにすることが望ましい、とされています。パンフレットも、隠し撮りにならないようにする、と説明しています。
レンズの向きそのものは 設置場所 と プライバシー で確認できます。更衣室、トイレ、隣家の窓を映し続ける向きは、防犯の目的から外れやすいです。
残す期間と、見られる人を、家と店で分けて決めます。
保存日数の一律の年数は、個人情報保護法にはありません。パンフレットは、「○年以上は登録してはいけない」といった具体的な年数のルールはない、と説明しています。Q5-4は、利用の必要性を考えて保存期間を設定し、個人データを利用する必要がなくなったときは、遅滞なく消去するよう努める、としています。何日残すかは、置き配の確認なのか、店のトラブルの確認なのかで変わります。残し方の種類は 録画の記事 にまとめています。
カメラ画像や顔特徴データが個人データに当たる場合、Q10-8は安全管理の例として、映像を見られる従業者を限る、責任者を決める、取扱いを従業員に伝える、カメラや記録媒体の盗難・紛失を防ぐ、ネットワーク経由で見る場合はパスワードなどでアクセスを限る、といった点を挙げています。データベースを作っていない映像でも、漏れないように扱うことが望ましい、と同じQ&Aは述べています。事業者が映像を外国のサーバーに置く場合は、その国の個人情報の制度を把握したうえで必要な措置を講ずる、とも挙げています。保存先は、製品の説明と契約で確認してください。
店・事務所では、目的・掲示・見られる人をセットで残します。
- 利用目的を、防ぎたいことに即して一文で残す
- 撮られていると分かりにくいなら、入口やカメラの近くに作動中であることを掲示する。見た目で分かる場合の掲示は望ましい
- 顔の特徴を登録して照合するなら、その機能を含めた目的を通知または公表し、問い合わせ先も示す
- 保存日数を決め、必要がなくなった映像を消す
- 見られる人を限る。退職した人のアカウントを残さない
- 映像ファイルをUSBや個人の端末へコピーして持ち出さない
- SNSや販促に使わない
自宅では、ログインの範囲と、消し方を先に決めます。
家庭でも、アプリのログインを家族以外に残さない、確認が済んだ映像をいつ消すかを決める、映像をSNSに出さない、カメラだと分からない場所に隠さない、という四点を先に決めておけます。初期パスワードのまま共有する失敗は よくある失敗 にまとめています。
映す範囲と、
残し方も確認します。
法律上の整理とは別に、隣家の窓に向いていないか、映像をどこに残すかを見ます。
よくある質問
自宅の玄関カメラにも、店と同じ義務がありますか?
個人情報保護委員会のカメラQ&Aとパンフレットは、個人情報取扱事業者(主に民間の事業者)がカメラを使う場合の説明です。通則ガイドラインは、個人情報データベース等を事業の用に供している者を個人情報取扱事業者としています。自宅の玄関を家族が見るだけの使い方が、店と同じ義務になるかは、この資料だけでは断定できません。自宅で事業をしている、部屋を貸している、管理組合や自治会で共用部を撮る場合は条件が変わります。顔が分かる映像自体は、ガイドライン上、個人情報の例です。
店に「防犯カメラ作動中」と掲示する必要はありますか?
カメラQ&AのQ1-13は、自分の個人情報が撮られていることを本人が容易に認識できない場合に、認識できるようにする措置が必要とし、入口やカメラの設置場所への掲示を例に挙げています。見た目でカメラだと分かる場合でも、掲示してより分かりやすくすることが望ましい、とされています。この説明は個人情報取扱事業者向けです。家庭の私的な利用に同じ義務があるかは、この記事では断定しません。
人が映ったら通知する機能は、顔識別機能付きカメラですか?
Q1-14が説明している顔識別機能付きカメラシステムは、撮影した顔から特徴データを抽出し、あらかじめ登録した人と照合する仕組みです。家庭用カメラの「人が映ったら知らせる」機能が、その仕組みと同じとは限りません。製品が顔の特徴を保存する、特定の人を覚える、と説明している場合は、取扱説明書とQ1-14を照らし、従来型の説明だけで足りるかを確認してください。
映った人の映像を、SNSに出してよいですか?
防犯目的で取得したカメラ画像や顔特徴データを、マーケティングなどの商業目的に使う場合、Q1-15はあらかじめ本人の同意が必要としています。SNSへの投稿は、映っている人の同意なく映像を公開することになり、目的の範囲を超えやすく、肖像やプライバシーの問題にもなり得ます。この記事は、個別の投稿の可否は判断しません。
映像は、法律で何日残すと決まっていますか?
パンフレットは、個人情報保護法に「○年以上は登録してはいけない」といった具体的な年数のルールはない、と説明しています。Q5-4は、利用の必要性を考えて保存期間を設定し、必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努める、としています。日数は、置き配の確認なのか、店のトラブルの確認なのかで変わります。残し方の種類は録画の記事で確認できます。